本研究の目的は(1)シリコン基盤の厚み(300mum)がほとんど空乏層化をしている、(2)2次元の位置測定が可能である、薄型シリコン検出器の方式についての検討をすることである。現在計画が進行中の非対称Bファクトリのパーテックス検出器として用いることも念頭に置いた。 1.シリコンの表面を100mum^*100mum程度の区画に分離したPIN型ピクセル検出器センサは(1)、(2)に適した性能を持つ。実際にBファクトリで用いる場合、多くの荷電粒子がシリコンを「斜め」に通過するため、これより大幅にピクセルの大きさを小さくする必要はない。 2.この面積と全く同じサイズの前置増幅器を現在のLSI技術で作ること自身には問題がない。全体の制御回路を含めてセンサとほぼ同じ大きさの読み出し回路を作ることはできるだろう。今回の検討けはこうした回路を具体的に検討するのではなく信号処理のための電子回路との接続の方法の検討を行った。 3.センサと読み出し回路は「向き合わせて張り付ける」ことになる。100mum間隔のピクセルの場合3cm^*3cmの検出器を作ろうとするときおよそ10万の接続が必要になる。 4.接続方式としては、現在「バンプボンディング法」、「マイクロバンプボンディング法」、「異方性電導性接着剤」などがある。 5.初めの二方式はバンプ(岡のような構造)をセンサ上に作り、そのバンプによりセンサと回路を接続する。信頼性は高いが、特別な工程が必要である。最後の方式は接着剤自身がバンプの役割を果たすので工程が減る。 6.どちらの場合にも、検出器として用いる場合は接続する数が非常に大きいため、最終的な接続の信頼度を評価する必要がある。
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