研究概要 |
研究代表者は以前,シルル系炭酸塩岩を題材に続成構造から不整合面を設定し,海水準変動の復元を試み,この研究手法を続成シークエンス層序学と名付けた。平成5年度科学研究費補助金の交付により下記の研究を行い,続成シークエンス層序学の展開に役立てた。 (1)スウェーデン国シルル系炭酸塩岩について-Sr安定同位体比を測定することにより,以前,続成構造から見い出した不整合面の上下に堆積の間隙が存在する可能性が強まった(この結果については国際雑誌に論文を準備中)。 (2)更新統琉球層群について-不整合面の認定には上記のシルル系石灰岩で用いたセメント等の続成構造を用いた手法が適用困難であることが判明した。しかし,Sr安定同位体比の精密な測定やcalcreteなどの土壌性生成物の認定により,不整合面を認別することが可能であることが明らかになった。 (3)秋吉帯石炭系石灰岩について-山口県秋吉台・新潟県青海の石炭系石灰岩シークエンスを題材に不整合面の認定を行なった。これら石灰岩をシークエンス中の有孔虫代石帯の境界付近に石灰岩磔が偏在していることが判明し、これが不整合を見つけるための有力な手がかりになることが明らかになった。(この結果については論文を投稿中)。 以上,石灰岩シークエンス中に存在する不整合面の認定の方法には様々なものがあり,来年度以降の研究でさらに進めて行く考えである。
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