本研究では、親水環境の重要な評価項目である水の色の、常時監視手法の開発とその利用を目的として、水の透過光と散乱光のビデオ画像を撮影・解析する手法の開発と、それによる水質の自動監視への利用可能性について、総合的な研究を行った。その内容は、以下の通りである。 1.装置の作成:試料容器内に試料水をポンプにて吸い込み、光源をビデオライトとする試料水の透過光と散乱光をCCDカメラ及びビデオ監視装置にて間欠録画できるよう、観測装置を作成した。 2.ビデオ画像の解析方法の検討:録画した画像は、再生・変換してパソコンに取り込み、青、緑、赤の各色の強さを計算、表示できるよう、解析プログラムをC言語にて自作した。 3.室内実験による検討:クロロフイル希釈溶液を用いた室内実験により、試料水の透過特性と散乱特性そのものを明らかにする方法を理論的な側面から検討した。その結果、試料水の画像データは、4つの透過特性と散乱特性の比に整理できることが分かった。 4.現地調査による検討:実際に本装置を農業排水路(愛知県祖父江町および岐阜県海津町)に設置して、装置の稼働状況を確認した。また、それと並行して月に数回程度の水質調査を実施し、現地の汚濁状況の総合的な把握を行うと共に、試料水の画像データによる濁度、クロロフイル、その他の水質項目の推定方法についての検討を行った。その結果、本装置によりJISで採用されている水の色の単色表示指標の推定ができるだけでなく、濁度や、さらに調査地によってはCOD、BODなどの水質の推定も可能であることが分かった。 5.水質推定への利用に対する検討:4.の結果を用いれば、採水調査を行っていない時間帯においても、水の色の単色表示指標はもちろん、いくつかの重要な水質項目が、本装置により推定できることを示した。
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