動脈硬化巣に浸潤している単球由来泡沫化マロクファージ(Mphi)は動脈硬化の発生、進展に重要な働きをしており、その病態を理解することは血管病変の制御をする上で非常に重要である。ヒト泡沫化Mphiを動脈硬化巣より大量に単離することは非常に困難である為、培養細胞やモデル動物での解析が重要と考えられる。本研究ではヒト白血病細胞由来で単球の性格を持つTHP-1細胞を泡沫化Mphiのモデルとして用い、TPAにて分化誘導させ、培養フラスコに付着した細胞を回収、RNAを抽出した。まず本細胞が泡沫化Mphiとしての特徴を持つか検討する為、泡沫化Mphiで発現しているスカベンジャー受容体をRT-PCR法を用いて検討した。その結果、TPA誘導により同遺伝子の発現が認められることがわかった。この結果、この系が泡沫化Mphiのモデルとして用いることができることがわかった。一方、我々は傷害肝において単球と類縁関係にある肝kupffer細胞より遊離する肝細胞増殖因子(HGF)が何らか動脈硬化の進展に関与している可能性について検討している。HGFはブラスミ-ゲンやリポプロラインalphaと相同性を持ち、又特定の条件下で血管の増殖因子として働くことも報告されている。そこで現在、同細胞より抽出したRNAを用いノーザンブロッテイング並びにRT-PCR法を用いてHGFの発現の検出を試みている。更に分化誘導に伴って泡沫化Mphiに特異的に発現する遺伝子を単離する為、サブトラクションライブラリーの作製を試みているところである。
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