近年、内在性微量アミンが中枢神経系において神経伝達物質あるいは神経調節物質として重要な役割を果たしていることが示唆されているにもかかわらず、著しく微量で存在しているため、微量アミンの研究はあまり進展していない。内在性微量アミンの一つであるbeta-フェニルエチルアミン(PEA)は、その化学構造や行動薬理学的作用が、精神分裂病様症状を引き起こす覚醒剤の一つであるアンフェタミンにきわめて類似しており、精神神経疾患との関連が注目されている。我々は中枢神経系におけるPEA代謝の研究を行ってきたが、代謝面のみならず、PEAの結合部位についても同時に検討することが必須であると考え、GTP結合蛋白質関連レセプター群において保存された核酸の配列を利用してPEA レセプターのcDNAをクローンニングし、培養細胞に発現させてその性質について検討を加えることとした。 1.ヒトの脳より mRNAを抽出し、逆転写酵素で合成されたcDNAをテンプレートとし、遺伝子増幅(PCR)を行なった。 2.GTP結合蛋白質関連レセプター群において保存された核酸の配列、第2膜通過部分および第5膜通過部分または第3膜通過部分および第6膜通過部分をもとに混合オリゴヌクレオチドを合成し、PCRのプライマーとした。 3.1.で得たcDNAを鋳型とし、2.で得たオリゴヌクレオチドをプライマーとして遺伝子増幅を行ったところ、目的のGTP結合蛋白質関連レセプターのDNA断片と同様の長さの断片を得た。塩基配列を検討したところ、ヒトのヒスタミン H_2レセプターおよびドパミンD_1レセプターの塩基配列と一致したDNA断片を得た。さらに他の候補DNA断片の塩基配列を検討し、GTP結合蛋白質関連レセプターの検索を行なう予定である。
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