乳癌組織および正常乳腺組織より培養し得た、線維芽細胞を用いて、ヒト乳癌細胞も混合し、ヌードマウス移植実験を行ない、以下の結果を得た。 1.乳癌組織より得た線維芽細胞と混合移植した場合において、ヌードマウスに腫瘤形成を認め、さらには、その期間も早期であった。 2.正常組織より得た線維芽細胞との混合移植では腫瘤形成は認められるものの、しだいに拒絶され、消失した。 3.ヌードマウスの卵巣を摘出し、低エストロゲン環境を作成し上記と同様に移植実験をすると、やはり、腫瘍間質線維芽細胞との移植においてのみ、腫瘤形成を認めた。正常組織中線維芽細胞では、腫瘤形成は認められなかった。 4.転移を形成するには、まず、周囲組織へ浸潤を開始することが第一段階となるが、腫瘍間質線維芽細胞との混合移植においてのみ、その腫瘤は、周囲筋層へ浸潤を認めた。
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