CD4陽性リンパ球はヘルパー細胞として機能し、細胞性および体液性免疫など生体の免疫反応の発現において中心的役割を演じる。CD4陽性細胞においてはCD4分子それ自体の機能が重要である。担癌患者の免疫能低下機序をCD4分子レベルで解明することを目的として臨床研究を行い、以下の知見を得た。 1.担癌においては癌の進行に従ってCD4陽性細胞の減少が認められた。 2.担癌の進行に伴って増加する非特異的免疫抑制因子IAPはリンパ球表面においてCD4分子のモジュレーションを誘導した。 3.細胞内CD4分子については、技術的に、解析するにいたらず、今後の課題のひとつとして残された。 4.担癌患者リンパ球CD4分子は健常者CD4分子より分子量が大きい場合があり、分子上の糖鎖との関連が示唆された。 以上、担癌に伴う免疫能低下機序としてCD4分子の変化に伴う機能不全が示され、その対策が今後の課題として残された。
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