体外衝撃波結石破砕術(ESWL)を腎結石患者に施行した際に、術前・後で血中の自己抗体(抗IVコラーゲン.抗ラミニン.抗フィブロネクチン.抗ヘパランサルフェートプロテオグリカン)を経時的に測定した。9例の患者にて精査したところいずれの患者でも抗体の産生は認められなかった。 抗体を産生するにいたらずとも、抗原の露出や血中への流入があるか否かも確認するために、同様に、IVコラーゲン(TS)の血中値をESWL前後で測定した。13例につき、経時的に測定したが、やはり変化はなかった。 動物実験として、ウシ糸球体を精製し、これに対してshock waveを照射した群超音波群を比較した。この両者を、再度ブラウンノルウェーラットに注射し、腎炎を発症させたが、特に差は認めなかった。 以上の結果より、ESWLは腎炎を発症させる原因となる証状はなし、現在のところESWLと抗糸球体基底膜抗体腎炎発症との因果関係は無いものと考えられた。しかし、ESWL後の腎炎発症については、十分に術後の経過を観察する必要は有るものと思われた。抗糸球体基底膜腎炎の発症機序が不明である現在、これ以上のESWLとの関係を明らかにすることには限界を感じた。
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