1.Fusobacterium nucleatum(Fn)からの好中球刺激因子の分離およびその性状 Fu菌体のn^-ヘプチルチオグルコシド可溶性画分から、種々のカラムクロマトグラフィー、プロティナーゼKおよびポリミキシンB処理によりマウス好中球に対して活性酸素を誘導する刺激画分を得た。刺激画分はペプチドと糖を含むが、刺激活性が耐熱性であること、過ヨウ素酸により失活すること、レクチン結合性があることから活性本体は糖物質であると考えられた。この画分にはリポ多糖が残存したが、対照実験からリポ多糖は活性酸素産生には影響を与えなかった。刺激画分を加水分解し薄層クロマトグラフィーおよびHPLC糖分析を行なったところ、グルコース、ガラクトース、マンノース、リボース、フコースが検出された。 2.刺激因子受容体の検索 メンブラン固定法によって刺激画分に結合するマウス好中球の細胞膜成分を分離した。電気泳動から、75、90、100、160、200kDaにバンドを認めたが、受容体との関連は不明であり、今後これらの成分の機能的な解析を要する。 3.刺激因子による蛋白リン酸化 好中球に対する刺激活性は、プロテインキナーゼ阻害剤スタウロスポリンおよびチロシンキナーゼ阻害剤ゲニステインのいずれによっても抑制されなかった。また抗ホスホチロシン抗体および抗ホスホセリン抗体を用いて、好中球のリン酸化蛋白の検出を行なったが、刺激によって新たに出現したり増加するリン酸化蛋白はいずれの抗体でも認められなかったので、他のキナーゼや情報伝達物質の変化について検討する必要がある。
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