酵母を合成培地で培養し、培養後菌体をフレンチプレスで圧縮破砕した。菌体破砕液を遠心分離を行い、上清液と沈殿とに分離した。上清液を粗精製するため硫酸アンモニウムによる分画を行った。硫酸アンモニウム0-65%飽和の画分を粗酵素液とした。この粗酵素液を用いて酵素反応を行った。 反応系にはチアミン・ピリミジン部の前駆体であるヒスチジンとピリドキシン、さらにATP、マグネシウムイオンを添加して行った。反応生成物であるチアミン・ピリミジン部の液体クロマトグラフィーによる微量定量を行うため、ピリミジン部の蛍光化を検討した。しかし、ピリミジン部の蛍光化条件を決定できなかった。このピリミジン部の蛍光化については現在も検討中である。ピリミジン部の微量定量が困難であるため、反応系にチアゾールモノリン酸も加えて、生成したピリミジン部と反応させ最終的に生成するチアミンをチオクローム蛍光法を用いてHPLCで定量した。 上記の方法で実験を行い次のような結果を得た。 1 ヒスチジン、ピリドキシン、チアゾールモノリン酸を基質としてチアミンが生成され、ピリミジン部の前駆体がヒスチジン、ピリドキシンであることが酵素化学的に証明された。 2 粗酵素液での条件ではあるが、至適pH7.2、至適温度38℃、反応系にATP、マグネシウムイオンが要求されること、SH基保護剤の影響は受けないこと等を明らかにしアッセイ方法を確立した。 基質として、ピリドキシン、ピリジキサミン、ピリドキサル、ピリドキサミンリン酸、ピリドキサルリン酸を用いて反応を行ったところピリジキサル、ピリドキサルリン酸がピリドキシンよりチアミン生成の効率が良いため、ピリミジン部の直接の前駆体はピリドキシンではなくピリドキサルまたはビリドキサルリン酸であることを明らかにした。
|