人間は、目、耳、口、鼻により構成されている顔の情報によって日常的に個人認識を行っている。そこで本研究では、人物顔の部位(目、耳、口、鼻)そのものにも、個人認識を行える情報が現れていると考え、それら部位画像を用い、個人認識実験を行なった。 今回、識別対象を顔全体の画像ではなく、顔を構成する部位画像に絞り、生体の神経回路網モデル(ニューラルネットワーク)を用い検討を重ねた。 部位画像は、ビデオカメラより、一定距離、同一照明下で取得した。画像サイズは、横320×縦200ピクセル、256階調のグレースケールである。この画像データから、不用部分を切り落とし、サイズを小さくする。また、認識実験に入力画像データとしてはあまりにも膨大であるため、マスク内の階調値の平均を一画素の階調値とするモザイク法を用い、画像データの縮小化を行った。これらの知見は、第24回画像工学コンファレンスに参加し、得たものである。 次にこのデータをニューラルネットワークに印加し、バックプロパゲーション学習則を用いて、ネットワークを動作させ、認識実験を行なった。計算は、Xターミナルを用いた。20人の右目の画像を用いた場合、95%の識別率を、30人の右耳の画像を用いた場合、90%以上の高い識別率を得る事ができた。これによって、人物顔の部位画像を用いた個人認識の可能性を示すことができた。なおこの結果は、電子情報通信学会の画像工学研究会(平成6年2月25日)で発表した。
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