研究課題/領域番号 |
05F05001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣野 喜幸 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授
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研究分担者 |
KIM SungKhun 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 季済馬 / 四象医学 / 気学的自然観 / 伝統医学 / 東洋医学 / 人体観 / 朝鮮医学 / 身体観 |
研究概要 |
19世紀末期、朝鮮の伝統医学者・季斉済馬は、朝鮮伝来の「気学的自然観」の流れから一つの統一的医学観を構想していました。四象医学と呼ばれる彼の医学思想は、人間の類型を臓器のタイプや性・情の構造によって四つに分けています。ところがこのとき「心」(性・情)と「身」(臓器)は「気」という媒介による疎通をその基底においているところから、西洋近代医学の機械論的人体観とは根本的に異なるものであったということができます。ゆえに、季済馬の四象医学において「心」とは、天理の支配をうけている臓理に規定されながらも、「修養」の如何によっては、その反応に臓腑の状態に影響を及ぼせると考えられたのであり、この「心」の修養のよる臓腑疾患の治癒と回復は、「気」の昇降作用を媒介として具体化されていたのです。 こうした朝鮮の医学伝統に対して、近代日本の場合は、明治維新の直後からドイツ医学を中心として西洋医学を全面的に受容したということがよく知られています。そして、そのような近代日本医学の歩みは、北里柴三郎のような優れた医学者を生みました。しかし、そもそも生命=機械論をベースとして出発した近代西洋医学は、今日臓器移植の問題からも見られるように物理的生命の延長のみに多くの力を費やしてきたと思います。そしてそのような現象は身体の均質化、病気における薬物の標準化にまで繋がり、また「客体」としての人間を大領生産してしまう現代社会の問題とも深く関わっていると思われます。 このように近代東アジアで発生した身体観と医学観の競争と変化を考察する作業は、われわれに多くの示唆点を投げかけていると思います
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