研究課題
色々な種類の力学系に対して正値性の定性的研究を展開している。ここでいう正値性とは初期値あるいは初期関数が正の値をとるとき、対応する解も正の値をとる場合である。本年度は次のような力学系を考察した:正値線形関数微分方程式、正値差分方程式、正値ボルテラ線形微分方程式、正値ボルテラ線形差分方程式、正値線形ボルテラースチルチェス方程式。方程式に対応して正値性を適切に定義し、正値性が保障される種々の条件を導き出した。その条件は係数行列の正値性などで与えられる。その結果線形関数微分方程式線形関数差分方程式や線形ボルテラ積分微分方程式の解作用素の正値性条件を得た。次にこれらの方程式の解の一様漸近安定性や指数安定性を考察し、その条件を導き出した。それらの安定条件は係数行列のスペクトル切片あるいはスペクトル半径を用いて与えられた。得られた結果は新しく興味深いものであり、標準的な教科書に載っているスカラーボルテラ方程式に対する古く確立されたよく知られた結果の拡張である。さらに正値的力学系の安定性を解析するための基本的な手段である古典的なペロン-フロベニウスの様々な拡張を行った。正値の多項式行列、正の疑多項式行列から始めて正値えんでい関数微分方程式に対して拡張した。他方これらのシステムの様々な摂動に対する安定半径あるいは強安定半径の計算を行った。変数パラメタをもつ線形系の安定半径の計算により正値線形系の安定半径の計算方法を統一することができた。特に正値線形遅れ時間をもつ微分方程式に対して、多重摂動による安定半径は強安定半径に等しく、また正値線形関数微分方程式に対して、多重摂動に関する安定半径は付随させた変数パラメタをもつ線形微分方程式の安定半径に等しいことを得た。
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