研究課題
鉛ビスマス冷却蒸気リフトポンプ型高速炉は、460℃の鉛ビスマス冷却材に220℃の給水を直接接触させることにより、圧力7MPa、温度296℃の蒸気を発生させ、同時に蒸気の浮力により一次冷却系の鉛ビスマスを循環させる革新型高速炉である。この高速炉の開発上の主要課題のうちで、以下の2点について研究を行った。蒸気リフトポンプの性能評価に必要な基礎データとして、高温の鉛ビスマスと水の直接接触により生ずる沸騰二相流の温度変動、圧力変動およびボイド率を測定した。温度150℃流量7〜10kg/hの水を温度255〜265℃の鉛ビスマスに注入した場合、40%から95%の高いボイド率が測定され、注入流量の増加と共に鉛ビスマス循環流量は若干減少し、注入部の圧力変動は数百Pa程度と小さかった。二相流部の鉛ビスマス自由表面からの鉛ビスマス液滴が蒸気流によりタービンに流入することを防止するため、位相ドップラー粒子計測法により液滴の発生量と電気集塵法による除去特性を実験により明らかにした。その結果99%の除去効率で液滴が除去できることを確認した。CFDコードFrontFlow/Redを用いてシェブロン型ドライヤーによる液滴の除去効率を解析的に調べ、簡易モデルと比較した。その結果、簡易モデルは液滴除去効率を保守的に評価することがわかった。しかしドライヤー内での液滴の分裂等の現象を調べる必要があるため、ドライヤー内の鉛ビスマス液滴の除去特性を調べる試験装置を設計し製作した。次年度よりこの装置を用いて試験を行う予定である。
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Proceedings of GLOBAL 2005, Tsukuba, Japan, Oct 9-13,2005
ページ: Paper No.538