研究課題/領域番号 |
05F05123
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐々木 陽一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授
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研究分担者 |
ZHANG Hua-Xin 北海道大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 集積型金属錯体 / 自己集積化膜 / 金基板表面 / 鉄複核錯体 / 酸化還元反応 / ルテニウム複核錯体 / プロトン共役電子移動 / 酵素モデル反応 |
研究概要 |
本研究では、一つの分子内に複数個の金属原子を含む集積型金属錯体を金基板上で連結させた構造体を構築し、その機能性を評価することを最終目的とする。集積型錯体としては、主にオキソ架橋型の鉄やルテニウム複核錯体を取り上げる他、ルテニウム三核、レニウム六核錯体などを用いることを計画した。本年度は、オキソ架橋型の鉄およびルテニウム錯体の合成から出発して、鉄錯体を金基板上に導入、集積化することまで進めた。これらのオキソ架橋錯体は、架橋部位へのプロトン付加と連動して酸化還元電位が変化することに特徴があり、生体内の金属酵素にも同様のユニットが存在することから、その機能モデルとしても重要である。すでに初期的なデータは当研究室から報告されているが、その結果を大きく展開するために、錯体の配位子にも工夫を加え新たなオキソ架橋鉄錯体をまず合成した。これらの新錯体は単結晶X線構造解析で構造決定した他、各種分光化学的性質も明らかにした。次の段階として、これらの錯体の配位子に導入したイオウ部分で、金-イオウ結合を形成させ、金基板上に自己集積化することを試みた。その過程で錯体の分解などが起こるため反応条件の検索に苦労したが、一応の成功をみた。鉄錯体は水溶液中では不安定で、詳細な酸化還元挙動の研究が難しいが、基板上に導入することにより、安定にpH依存の酸化還元挙動が観測出来た。また、プロトン以外のルイス酸であるBF_3や金属イオンの効果についても予備的な研究を進めた。さらに、より安定なルテニウム複核錯体についても錯体合成に取りかかっている。研究はスタートして6ヶ月あまりであるが、全体的には順調に推移しており、2年目に当初計画通りの成果があげられる状況にある。
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