抗男性ホルモン療法に活用されている様々な植物のうち、身近な草本植物に対して50%エタノール抽出物を調剤し、その50%エタノール抽出物を酢酸エチルに溶解する部分と水に溶解する部分に分け、酢酸エチル抽出物と水抽出物を調剤した。それらの抽出物それぞれについて5α-リダクターゼ阻害活性試験を行ったところ、タデ属植物であるツルドクダミPolygonum multiflorum(何首烏)は最も高い阻害活性を示した。また、ツルドクダミに含まれている主な活性成分は酢酸エチルにより抽出されることを示した。また、たで科植物の多くには抗菌作用のあるアントラキノン類を主成分として含んでおり、アントラキノン誘導体成分が5α-リダクターゼ阻害を示す主な成分である可能性が示唆される。本研究においては、植物から5α-リダクターゼ阻害成分の単離ならびに構造決定を行う前に、既に知られている成分化合物に対して5α-リダクターゼ阻害活性を試験するいわば化学的なスクリーニングを行ったところ、ツルドクダミなどのタデ属植物のアントラキノン類成分のうち、rhein(ツルドクダミ)に5α-リダクターゼ阻害活性が存在することを示した。即ち、rhein成分がツルドクダミの5α-リダクターゼ阻害活性の根元の一つになることと判明された。また、その阻害成分が属する化合物類のアントラキノン誘導体の5α-リダクターゼ阻害活性について、構造活性相関を調べたところ、生体内酸化還元酵素である5α-リダクターゼとその阻害物質rheinとの分子レベルでの相互作用メカニズムには阻害物質分子中の陰イオン性aryl acid系構造が5α-リダクターゼ阻害活性に重要であることが明らかになった。
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