研究課題/領域番号 |
05F05181
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
富岡 憲治 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授
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研究分担者 |
KARPOVA Svetlana.G 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 概日リズム / コオロギ / 視葉 / 概日時計 / マスキング効果 / 光 / 温度 / 時計遺伝子 |
研究概要 |
1)視葉を切除したコオロギを恒暗・温度周期から恒暗・温度一定の条件に移行させた場合には、24時間周期の温度周期を経験した場合には数サイクルリズムが継続したが、8時間、12時間、16時間、32時間の場合には有意なリズムは検出されなかった。この結果は、視葉外の時計が概日性であり、24時間には同調できるがそれ以外の範囲では同調できないことを示唆している。 2)光周期と温度周期を明期と高温期が一致するように、あるいは明期と低温期が一致するような条件で与えた場合には、コオロギの活動量は高温で上昇したが、活動ピークは常に暗期に来るように同調した。従って、光は温度よりも強力な同調因子であると結論された。 3)視葉遠心性ニューロン群の電気活動を単離培養条件下で、恒暗温度周期(25℃12時間:20℃12時間)の条件で長時間記録した結果、電気活動は高温期に上昇し、低温期に低下するリズムを示した。この結果は、温度周期を与えた場合には、視葉から脳への出力そのものが温度により直接影響され、それが高温での活動量の上昇に反映された可能性を示唆している。 4)時計遺伝子periodの2本鎖RNAを投与することで、恒暗・恒温条件下では成虫の活動リズムが完全に停止するが、光周期を与えることで明期開始時にピークをもつリズムを示すことがわかった。再び恒暗へ移行すると直ちに無周期になることから、明暗での活動リズムはマスキングであると示唆された。RNA干渉により作出される無周期コオロギは、神経系は無傷であり、環境因子の直接作用を検討するうえで好適な材料となることを示した。
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