研究概要 |
現在、1998年に選抜されたマツ材線虫病に対する抵抗性16個体(第一世代抵抗性クローン)をベースに第二世代抵抗性マツの開発が進められている。第一世代抵抗性クローンの一つである志摩ク64号の針葉からトータルDNAを抽出し、TAC(triplex affinity capture)法を用いて2塩基繰返しSSR(simple sequence repeats,[CT]n)マーカーの開発を行った。また、SSR領域の探索を効率的に行えるようPIMA(PCR-based isolation of microsatellite assay)法の改良も行った。この結果、[CT]繰返しを含むSSR領域は、PIMA分析でポジティーブと判定されたコロニーの約73パーセントに達した。しかし、変異性が高いと考えられる繰返し数が10回以上のものはその1/3であった。現在まで29個のマーカーが開発された。 また、3塩基繰返しSSRは、親子鑑定等で判定ミスの原因となっているスリップエイジが2塩基繰返しSSRに比べて著しく低いため、ヒトなどで分子マーカーとして広く利用され始めている。本研究でもこの導入を試み、3塩基繰返しSSRのうちの[CTT]nと[CCT]nについて開発を行った。まず、3塩基繰返しプローブを使用する時のTACおよびPIMAの反応条件等について検討し、3塩基繰返しSSRの開発法を確立した。この方法を用いてクロマツ核ゲノムからのスクリーニングを行ったところ、現在までに28個のSSR領域が探索され、このうち4領域が分子マーカーとして利用可能であることが明らかとなった。
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