研究及び翻訳は計画通りに行いました。 (1)中国における哲学現状の調査について 2007年4月14日から16日中国の北京大学図書館と国家図書館で、中国の近代哲学研究の現状調査、特に大森哲学と深く関わる西洋分析哲学の中国語訳語を中心に行いました。17日北京大学哲学学科の邪滔滔助教授と程錬助教授に会い、中国の分析哲学と科学哲学の現状および大森哲学の中国への紹介などについて、意見交換を行いました。 (2)大森荘蔵の著作および著書の翻訳について、予定通り終えました。 論文:「知覚の因果説検討」、「表象の空転」、「ことだま論-言葉と「もの-ごと」」の三篇の翻訳が既に完成しました。2007年4月29日商務印書館の『外国哲学』の雑誌担当者と「知覚の因果説検討」の掲載交渉を行い、同雑誌に順次掲載することになりました。 著作:『流れとよどみ-哲学断章』。2007年4月27日北京大学出版社と『流れとよどみ』の出版交渉を行い、2008年に出版することになりました(出版社間の出版契約がすでに締結されました)。 (3)中国での大森哲学の紹介論文の掲載について 2007年4月29日中国科学院の『科学技術評論』雑誌担当者と「大森荘蔵とその哲学」の掲載交渉を行い、その後、6月の第四期第三号に掲載しました。この掲載により中国における日本の科学哲学および分析哲学の空白を埋めることができました。将来の日本科学・分析哲学の研究・紹介に道が開けました。 (4)大森哲学の天台教学研究への導入について 大森哲学を導入しながら、心を主体と見る天台の従来の見方を見直した論文を「世界の一項目としての心、己の生きる状況である心」を題にして日本印度学仏教学会第58回学術大会で口頭発表を行いました。その後『印度學佛教學研究』第五十六号に掲載されました。
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