研究課題
今年度の研究実績は以下のように概括できる。(1)継続して中央アジア出土の初期漢文刻本残片を収集した。また本課題の核心部分であるベルリン所蔵の吐魯番文献に関して系統的な分析を行い、《開宝蔵》と《金蔵》および《契丹蔵》といった大きく異なる二類型の経蔵の基本的形態の判定基準、佚存経目の校勘分析、上述の経蔵が中央アジアに流伝した歴史的な背景を考察する上で、根本的な進展を見た。(2)日本の公私学術機関の関連牧集品を調査した。京都大学の各図書館が所蔵する資料以外にも、京都国立博物館、龍谷大学、大谷大学などを頻繁に訪れたほか、日本の専門学者と密接に連絡し合い、情報交換を行った。(3)旅順博物館に遺る旧大谷探検隊将来品中の重要未刊資料を調査し、伝存稀な《開宝蔵》の一次資料を掌握するため、2007年9月に中国に赴き、該博物館及び北京の中国国家図書館善本部において原写本の研究を行い、大きな収穫を得たほか、北京大学中国古代史研究中心、中国人民大学西域歴史語言研究所、中国社会科学院歴史研究所資料学与資料史研究室、首都師範大学歴史系を訪問し、関係学者と会談を行い、新資料と研究の新たな展開について知見を得た。(4)京都大学人文科学研究所において高田教授の主催する西陲出土写本研究班活動に定期的に参加し、同研究所のロシア所蔵敦煌文書研究班の活動に参加した。学外の活動としては、ソグド文化研究会、大阪大学中央アジア学フォーラム等に招待され参加した。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
高田時雄(編)《敦煌寫本研究年報》, 京都大學人文科學研究所 創刊號
ページ: 145-163
高田時雄(編)《唐代宗教文化與制度》, 京都大學人文科學研究所
ページ: 41-65