研究概要 |
超対称理論は、標準模型に内在するエネルギースケールの自然さの問題を解決するものとしてその存在が有望視されているものであるが、同時に他の標準模型の拡張と同様に大きなフレーバー対称性の破れを引き起こす可能性があり、フレーバーの破れをどのように制御するかということが大きな研究テーマとなっている。本研究では、超対称理論のフレーバーの破れについて広い観点から研究を進める。本年度は、次のような研究を行った。 Wボソンのレプトンへの崩壊が有意に普遍性を破っていることがLEP実験で報告されている。すなわち、LEP実験の4グループの実験が1996年から2000年までに得た結果を総合すると、Wボソンがタウレプトン対に崩壊する分岐比が他のレプトン対に崩壊する分岐比よりも2.8シグマ大きい事がわかったのである。このLEPの実験結果はWボソンと同じ質量を持つ荷電ヒッグス場の存在を仮定することにより,他の実験などと抵触せずに説明できることを示した。 この結果は既に論文として公表した。 さらに、超対称大統一理論におけるレプトンセクターとハドロンセクターのフレーバーの破れについて総合的に比較する研究を行った。この結果は論文として公表する予定である。
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