本研究は、重い電子系、強相関物質、酸化物、有機物質等の物質を対象に高圧力を研究中心として多重極限環境(高圧・低温・高磁場)下の物性研究において、圧力誘起超伝導をはじめとする数奇現象の起源とその機構解明を目的とする。本年度9月に来日後、Ovsyannikov氏は、精力的に氏の持参した圧力発生装置の組み立ておよび試運転を開始した。その際発生した、問題点、例えば:低温測定のための冷凍機との取り付け方法、圧力決定法、精密な熱電能および電気抵抗測定のための種々装置の整備および測定方法等の改善に積極的に取り組み現在測定できる段階にある。最初のテストも兼ねた測定試料としては、古くから研究されているマグネタイト(F_3O_4)および鉄(Fe)を取り上げ、測定用試料加工を行っている。マグネタイトは、8GPa以上で金属絶縁体転移を起こすことが知られているが、圧力の質によりその物性が大きく異なることが明らかになっている。この試料を測定することにより、Ovsyannikov氏の所有する装置の圧力の質を知ることが可能となり、装置の能力を知る良い指針を与えると期待される。また、Feは13GPa程度の圧力で超伝導を示す。本装置を用いた熱電能および電気抵抗測定により、超伝導発生起源に近づけるものと期待される。 まず装置テストを行い、室温において、加圧テストを行った結果、期待通り加圧できることを確認した。
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