JSPSの外国人特別研究員として東工大にBhalla氏を招聘し、高橋が拠点リーダーを勤めている「21世紀COE地球」(2004-2008年度)に深く関係する共同研究を開始した。 BHALLA博士はHolz教授の指導の下に、ハノーバー大学で2005年2月に博士号を取得した新進気鋭の研究者である。BHALLA博士はこれまで花崗岩マグマへの揮発成分溶解度、遷移金属元素のマグマ中への溶解度に及ぼす酸素分圧とハロゲン元素の影響を実験的に研究してきた。BHALLA博士がこれまでの研究で蓄積した実験技術と学識に基づいて、原始地球の大気形成にかかわる実験的研究をJSPS-PDとして東工大で行う計画である。この実験には申請者の高橋がこれまで開発してきた一連の高圧実験装置とBHALLA博士がハノーバー大学で進めてきたメルトと揮発成分に関する高圧実験のノウハウがとりわけ有効に結びつくと期待される。初期地球表層環境の成立にかかわるBHALLA博士との共同研究は上記COE拠点にとって極めて重要である。 BHALLA博士は2005年10月東工大に着任して以来、東工大のピストンシリンダー型高圧発生装置を用いて揮発成分がシリケイトメルトの表面張力に及ぼす影響を調べる実験に着手した。この研究はマグマと結晶の濡れ角を急冷実験試料を用いて観察し、H2O、CO2の濡れ角に与える影響を調べるためのものである。BHALLA博士はこれまでに既に10回以上の高圧実験に成功し、電子顕微鏡観察、電子線プローブマイクロアナライザー化学分析装置を用いて実験回収試料の分析に成功している。
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