研究概要 |
有機金属気相(MOVPE)選択成長による化合物半導体フォトニック結晶(PC)の作製に関する技術確立を目的とし、本年度は様々な形状のエアホール型PC構造中に形成されるフォトニックバンドギャップ(PBG)の理論計算及び、発光素子集積化のための導波路及び微小共振器構造の試作を行った。GaAs(111)B基板に三角格子状のSiO_2周期パターンを電子線リソグラフィにより部分的に形成した後、基板開口部にのみGaAs薄膜を選択的にMOVPE成長する。この時重要となるGaAs周期構造の平坦な垂直{110}ファセット側面の(横方向の)成長速度と、[111]B方向(縦方向の)成長速度とのバランスで種々の形状のエアホールが形成される。開発したPWE法によるPBGの理論計算から今回、我々のPC構造では六角形もしくは三角形エアホールの場合に十分大きなPBGが得られるとの知見を得た。実際に作製したPC構造では、高成長温度(800℃)・低AsH_3分圧(1.3×10^<-5>atm)の条件下で、側面の横方向成長速度を抑制し六角形エアホール(格子定数:500nm)を、逆に低成長温度・高AsH_3分圧の条件下で、側面からの成長を促進し三角形エアホール(格子定数:800nm)を形成することに成功した。六角形エアホール部の断面SEM観察の結果、ほぼ90°の垂直{110}ファセット側面が得られたことを確認している。さらに六角形エアホールPC構造中に、線欠陥及び六角形微小共振器に相当するニアホール部の欠損を導入した構造においても、同様に良好なPC構造を実現可能であることを確認した。以上の成果を発表した3rd Int.Conf.on Mater.for Adv.Technol.(ICMAT 2005),July 2005,SingaporeにおいてThe Best Poster Awardを受賞した。
|