研究概要 |
ブリッジマン法により作製された一方向凝固アルミナ/YAG複合材料を対象として、X線回折による熱残留応力評価と1600-2000Kの超高温での変形挙動の実験的把握および有限要素法解析による解析研究を行った。主な結果は以下のように要約される。(i)X線回折結果から複合材中のYAGの残留応力は圧縮であり、平均値は、凝固方向に平行および垂直な面で-220MPaおよび-157MPaと評価された。(ii)これらの測定した平均値は、ラメラーおよび繊維複合材モデルによる計算値とほぼ同レベルであった。(iii)有限要素法で計算したYAG中の平均残留応力は-180MPaとなり,X線測定結果(凝固方向に垂直方向に-157MPa、平行方向に-220MPa)とよく一致した。(iv)有限要素法で計算したYAG中の残留応力は、位置により大きな差があった。これは組織の不均一性に由来するもので、比較的YAGの体積率が低い領域で高い圧縮応力、比較的YAGの体積率が高い領域で低い圧縮応力が存在することが明らかになった。(v)高温変形挙動については、温度とひずみ速度を変えて行った実験から、高温になるほどまた低ひずみ速度ほど、塑性変形域の流動応力は低下することを見出した。(vi)有限要素法による計算結果は凝固方向に平行、垂直いずれの方向においても実測値をよく再現した。(vii)等ひずみおよび等応力モデルによる計算結果は、組織の特徴から上限と下限を示しており、実測値はこの間に位置していた。(viii)アルミナおよびYAG内の応力およびひずみ速度の有限要素法計算結果から、微細組織の等ひずみおよび等応力モデルからの偏奇が、本材料の変形応力を凝固方向に平行な場合は下げ、垂直な場合は上げることを初めて定量的に示した。
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