研究概要 |
シュマンタ氏が11月に来日した後、4ヶ月間、以下の2つの題目について検討を行った。 1)モノポルフィリンとフラーレンとの錯形成定数の決定 2)カーボンナノチューブとジポルフィリン化合物との錯体の理論計算 1)については、テトラアリール、ジアリールジアルキル、テトラアリールの3種のポルフィリン化合物とC_<60>,C_<70>との錯形成定数をUV-VIS,蛍光、およびNMRスペクトルより決定した。その結果、多くの場合でC_<70>がC_<60>に比べ約10倍程度大きな錯形成定数を示し、また、C_<70>は10^4程度の大きな値を与えることが明らかとなった。 2)については、本特別研究員奨励費で購入した理論計算パッケージ、Spartan'04を用いて行った。アームチェアー、ジグザグ型カーボンナノチューブの座標はネット上で公開されているものを用い、半経験的理論計算(PM3)により、ジポルフィリンとの錯体の安定性を比較した。メタフェニレンをスペーサーとするジポルフィリンと(6,6)から(14,14)にかけての一連のアームチェアー型カーボンナノチューブを用いた場合、直径1.33nmの(10,10)のナノチューブが最も安定な錯体を形成することが明らかとなった。この結果は、我々のグループで進めている研究結果とも良い一致を示しており、たいへん興味深い。現在、他のジポルフィリンとカーボンナノチューブの計算を進めるとともに、ジポルフィリンとフラーレンやモノポルフィリンとフラーレンによる同様の計算も行っており、実験と理論、両面から研究を進めているところである。
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