本年度も、研究計画どおりに研究が進んだ。以下に具体的実績を記す。 1:マイクロデバイス中におけるDNA長の1分子解析 交流電界を与えるとDNAを伸張することができる。しかし、これまでの手法ではイオン強度を上げることができずDNA解析反応でよく使用される制限酵素反応やPCRのための溶液は使用できなかった。そこで、マイクロチャンバー中に線維状のポリアクリルアミドを溶液に添加することでこの問題を克服すし、デバイス中のDNA1分子の伸張とそれによるDNA長の計測に成功した。その結果、B型DNAの最大長の90%程度伸張していることがわかり、DNA長の決定も200bp程度の精度があることがわかった。 2:マイクロデバイス中の制限酵素反応の計測 マイクロチャンバー中にDNA分子と制限酵素を閉じ込め、その中でDNAが切断されていく様子の1分子計測に成功した。このとき、反応に必須なMg^<2+>イオンを外から電気的に導入することで、反応開始の制御にも成功した。 3:マイクロデバイス中での制限酵素反応と切断DNA長の計測の統合化 1と2の技術要素を組み合わせることで、マイクロデバイス中でDNAを切断し、これを外部電圧で伸張することでその長さを計測することにも成功した。
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