研究課題
抗ガン剤原料として重要なカンプトテシンは、アカネ科チャボイナモリ、ヌマミズキ科キジュ、およびクロタキカズラ科クサミズキ等の分類上離れた植物種において生産されるテルペノイドインドールアルカロイドである。カンプトテシンは強力なトポイソメラーゼI阻害作用を有し抗ガン作用を示す。また、トポイソメラーゼIを有する広範な生物に対して細胞毒性を示す。本研究では、植物におけるカンプトテシン生産・蓄積機構を明らかにすることを目的として、チャボイナモリ、キジュなどのカンプトテシン生産植物のカンプトテシンに対する自己耐生メカニズムを調べた。まず、細胞からのカンプトテシン排出により耐性を獲得すると予想して、カンプトテシンを高生産するチャボイナモリ毛状根特異的に発現する4つのトランスポーター遺伝子をクローニングした。これらをカンプトテシン感受性タバコBY-2細胞に導入し、形質転換によりカンプトテシン耐性を獲得するか調べた。その結果、これらのトランスポーターはBY-2細胞にカンプトテシン耐性を付与しなかった。また、各種阻害剤実験により毛状根から培地中への生合成とカンプトテシン放出には、トランスポーターではなく膜輸送が関与することが明らかになった。さらにチャボイナモリおよびキジュのトポイソメラーゼI遺伝子をクローニングして塩基配列を決定したところ、これらの植物のトポイソメラーゼIには、カンプトテシン耐性ガン細胞において明らかにされているアミノ酸置換と同様の変異が存在し、これらの植物がカンプトテシン耐性を有することが明らかになった。
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Plant J □ (OnlineEarly Articles)
ページ: doi:10.1111/j.1365-3 13X.2007.03079.x