マンゴスチンは雌雄異株であるが、雄株の存在はこれまで認められておらず、現在存在するマンゴスチンはすべて雌花のみを着生する雌株である。本年度は、まず、マンゴスチンの花器発達過程を詳細に調べ、マンゴスチンの雌花に存在する偽雄蕊で花粉が形成される可能性がないかを調査した。その結果、偽雄蕊では花粉母細胞は形成されているが、4分子期以降、花粉が退化していくことが明らかとなった。しかしながら、4分子期までは正常に花粉の分化が進んでいることから、植物ホルモン等の処理を行うことで、正常な花粉を獲得し、今後のマンゴスチン育種に応用できる可能性が示唆された。 次に、昨年度明らかとなった、マンゴスチン成熟種子断片からの植物体再生能力を再確認し、その分化過程を左右している要因を解明することを目的として、種子に存在する前形成層と種子断片からの分化能力、および、種子断片からの植物体分化と植物ホルモンの反応性を調査した。その結果、種子に存在する前形成層を含まないように切断した種子断片はその分化能力が著しく低下すること、また、高濃度のサイトカイニンによって種子断片から分化する植物体数が増加する傾向にあることが明らかとなった。今後、種子断片からの植物体再生に関与する要因を解明し、それを利用した変異個体作出法を検討することを計画している。 なお、マンゴスチンの染色体数を確定することを目的として、根端細胞を利用した染色体観察を実施しているが、未だ鮮明な染色体像を得ることができておらず、今後、根端細胞への酵素処理濃度や処理時間等の再度検討する予定である。
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