In vitroにおけるルーメン内繊毛虫およびバクテリアの消化活性に及ぼす脂肪酸カルシウム添加の影響 反芻家畜のルーメン内におけるタンパク質の分解は飼料タンパク質の理化学的な性質とタンパク質分解に関与する微生物によって生成される酵素の種類と量による影響を受ける。タンパク質分解に関与するルーメン微生物は、主としてバクテリアとプロトゾアであり、動物の種、個体、環境によって微生物叢が異なるが、宿主が摂取する飼料による微生物の種類と数を変化させ、二次的生産する酵素に大きく影響すると考えられる。 脂肪酸カルシウム塩は乳牛の泌乳盛期におけるエネルギー補給する目的で開発されたバイパス油脂であり、中性のルーメン内では脂肪酸とカルシウムが結合状態のままで、第四胃以降の酸性条件下では解離するという性質を持っているといわれている。脂肪酸カルシウム塩と個々のアミノ酸またはダイズ粕を混合し、2軸式エクストルーダによってペレットタイプの被覆成形することによるアミノ酸・タンパク質飼料のバイパス性の改善が期待できると考えられるが、ルーメン内微生物の代謝に悪影響をおよぼすことは否定できる報告はない。本試験では、まず、脂肪酸カルシウム塩(バイパスメイトL)添加がルーメン内プロトゾア(Entodinum属繊毛虫)とStreptoccus bovis、Selenomonas ruminatium subsp.lactilyca、Prevotella ruminicola、Butyrivibro fibrisolvens、Ruminoccus albus、Ruminoccus flavefaciensなど6種類のルーメンバクテリアに対する影響をin vitro法を用いて検討した。 プロトゾアのデンプン摂取および消耗力は脂肪酸カルシウム塩添加の有無、または添加量(0.05〜0.4%)による影響を受けず、プロトゾアの体内に取り込んだデンプンは培養後12時間目にほとんど消耗された。 プロトゾアのタンパク質分解能への影響、バクテリアの増殖および酵素活性への影響などについて、分析およびデータ解析中である。
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