研究課題/領域番号 |
05F05492
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
栄本 忠昭 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授
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研究分担者 |
李 春梅 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 肺MALTリンパ腫 / 細胞診標本 / API2-MALT1キメラ遺伝子 / P16 / INK4a遺伝子メチル化 / びまん性B細胞リンパ腫 |
研究概要 |
1、肺MALTリンパ腫:細胞診標本を用いたAPI2-MALT1キメラ遺伝子の検出 肺原発性悪性リンパ腫中90%近く占める肺MALTリンパ腫の約半数がAPI2-MALT1キメラ遺伝子陽性である。今回我々は細胞診標本からこのキメラ遺伝子の検出が可能か検討した。組織標本を用いて確認されたAPI2-MALT1キメラ遺伝子陽性の肺MALTリンパ腫3症例を用いた。捺印、喀痰、気管支洗浄液、骨髄スメア、胸水などの細胞診標本よりRNAを抽出し、API2-MALT1キメラ遺伝子の検出をmultiplex RT-PCR法を用いて行った。キメラ遺伝子はすべての細胞診標本で検出が可能であった。細胞診標本によるキメラ遺伝子の検出は肺MALTリンパ腫の診断、臨床病期の決定、経過観察の補助的な診断法として有用であると考えられた。 2、肺B細胞性リンパ腫におけるp16/INK4a遺伝子過剰メチル化の検討 p16/INK4a遺伝子異常はリンパ腫進展との関連性が示唆されている。我々は肺B細胞性リンパ腫(低悪性度肺MALTリンパ腫60症例、高悪性度びまん性B細胞リンパ腫11症例)においてp16遺伝子メチル化と、API2-MALT1キメラ遺伝子や臨床病理学的因子との関連について検討した。API2-MALT1キメラ遺伝子は肺MALTリンパ腫25/60症例(42%)、びまん性B細胞リンパ腫0/11症例(0%)が検出された。p16/INK4a遺伝子の過剰メチル化はMALTリンパ腫36/60症例(60%)、びまん性B細胞リンパ腫6/11症例(55%)に認められた。p16遺伝子メチル化はAPI2-MALT1キメラ遺伝子異常、臨床病理学的因子との関連は認めなかった。またp16遺伝子の過剰メチル化は低悪性度リンパ腫に高頻度に認められ、早期事象の一つと考えられた。
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