研究課題
放射光X線応用計測とともに実験室レベルの計測技術評価技術および精密薄膜作製技術を同時に進めることにより、ナノオーダーの薄膜・多層膜を精密に評価する技術を開発し、将来においてナノ薄膜標準開発に展開させることを目的としている。具体的には、指向性の高い放射光X線の入射角を高精度に調整が可能な試料保持台の開発を行い、これを用いて放射光による極薄膜のX線吸収分光測定などに応用する。また、超高真空製膜装置、実験室X線反射率装置、X線光電子分光装置などを用いた計測も行い放射光計測の結果と比較する。本年度は、半導体デバイスで重要なHigh-k薄膜の測定を主に行った。得られた結果は下記の通りである。(1)試料保持台では、入射X線と試料表面を1/100°程度の平行性を確保する必要があるが、従来はこれをマニュアル的に実施していたため測定準備に時間を要した。調整手順を見直しソフトウエアーの改良によりこれを一部自動で行えるようにし、角度に対する目標の精度を達成した。(2)実験室レベルでナノ薄膜についてその場計測を行うため、小型の電子ビーム蒸着装置やスパッタリング装置を試作し、X線光電子分光装置に接続し、薄膜試料を大気中に出すことなく測定できるようにした。(3)High-k膜であるHfO2を1-10nm程度の厚さで調整し、成膜の初期過程をX線光電子分光で、深さ方向の状態分析を斜入射X線吸収分光法で解析した。データ解析は進行中であるが、界面での微細な構造や組成変化を示す結果が得られている。(4)放射光X線を用いてHf元素によるX線吸収強度を測定し、ナノ薄膜中のHf絶対量を求めることを試みた。これもデータ解析中であるが、%オーダーの正確さで薄膜中の物質量を定量することが可能であることが分かってきた。
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Photo Factory Activity Report 2006 (accepted.)
Second International Symposium on Standard Materials and Metrology for Nanotechnology, (accepted)