研究課題/領域番号 |
05F05649
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研究機関 | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
研究代表者 |
百渓 英一 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 動物衛生研究所・企画調整部, チーム長
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研究分担者 |
WANG Hongyu 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 動物衛生研究所・企画調整部, 外国人特別研究員
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キーワード | ウロコルチン(Ucn) / コルチコトロピン放出因子(CRF) / 神経ペプチド / ヨーネ菌 / クローン病 / Th1型細胞性免疫 / 炎症性腸疾患 / クローニング |
研究概要 |
[背景・ねらい] 牛のヨーネ病は慢性の下痢を特徴とする家畜法定伝染病であるが、人の原因不明の難病疾患であるクローン病の原因としてヨーネ菌の関与を示唆する報告が多いことから病理発生機構と予防診断法の解明が重要になっている。過去一年間、「神経ペプチドの人および家畜の炎症性腸疾患の免疫制卸に関する役割解明」を研究課題として、特に神経ペプチドの一種ウロコルチンの遺伝子発現と免疫作用を検討した。 [成果の内容・特徴] 1.牛におけるUcnの存在およびその遺伝子については全く知られていない。又、Ucnの発現変動が感染症において定量的に検討されたという報告はない。さらに、Ucnの発現変動を感染診断に応用するという報告もされていない。そのため、牛のマクロファージをLPSで刺激し、ウロコルチンcDNAをクローニングした。この新規遺伝子の配列はNCBI遺伝子データベースに登録(NM_001032301)した。 2.得られた遺伝子配列を元にして、ウロコルチン遺伝子発現をリアルタイムRT-PCRで調べた。結果としては、ヨーネ菌抗原で不顕性感染実験牛と非感染牛の血液をとり、菌抗原を加えた場合と加えない場合のウロコルチン発現レベルを経時的に測定して、感染牛では菌抗原刺激時に特異的に抑制される現象が見られるが、健康牛では有意差は見られない。 4.一方、細胞刺激や活性化を起こす大腸菌由来リポポリサッカライドで血液細胞を刺激した場合には、感染牛で添加と無添加で有意差はなく、健康牛ではいずれの添加でも増加傾向を示し感染牛と区別し得ない。 [成果の活用面] 1.ヨーネ病の発生のある牧場において、公定法を補強する検査法として感染を疑う牛のスクリーニングに利用できる。本診断結果を農場の汚染状況の把握に活用することで清浄化が進む。 2.成果はヨーネ病の早期診断法の開発(国際特許申請済み)に成功しております。論文も完成し、投稿検討中である
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