研究課題/領域番号 |
05F05649
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
百溪 英一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所ヨーネ病研究チーム, 上席研究員
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研究分担者 |
WANG Hogyu 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所ヨーネ病研究チーム, 外国人特別研究員
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キーワード | 牛 / 神経ペプチド / 副腎皮質ホルモン / ヨーネ病 / ウロコルチン / CRH / cDNA / mRNA |
研究概要 |
ヨーネ病は家畜の法定伝染病で最も重要な疾病で、不顕性感染ウシの免疫学的メカニズムの解明が早期診断や防疫に重要である。また、ヨーネ菌と人の難病疾患クローン病の関係も示唆されてきた、公衆衛生上比較研究を加速する必要もある。本研究では免疫抑制に関与していると思われる神経ペプチド、特にウロコルチンの局在の確認や動態の解明を遺伝子クローニングや機能解析を通じて行い、家畜疾病や人の関連疾病の予防、診断、治療などに資することが本研究の目的である。 当該研究ではウロコルチン(UCN)のcDNAのクローニングを行い、アミノ酸配列を明らかにした。このことにより、牛UCNの遺伝子発現レベルの定量的測定が可能になった。アミノ酸配列を人、マウス、ラットで報告されているUCNの配列と比較すると、それぞれ83.721%、81.395%と79.070%の相同性を示し、成熟ペプチド領域では95%の相同性を示した。感染牛と健康牛由来の血液細胞をヨーネ菌抗原で刺激したところ、ヨーネ菌感染牛の血液においてのみUCNの発現が低下する現象を明らかにした。この現象はヨーネ病診断の新たなパラメーターとなることから特許申請した。 本研究ではUCNの場合と同様の技術を用いて、牛ウロコルチン2(Ucn2)のシークエンス分析も行いcDNAのクローニングを完了した。UCN2のcDNAは399の塩基対からなる翻訳領域(ORF)、そして、113のアミノ酸をコードする事が明らかとなった。予測されたアミノ酸配列は、ヒト、ネズミとラットのアミノ酸配列とそれぞれ72.072%、62.5%と61.607%の相同性を示した。また、ウロコルチン3(Ucn3)のシークエンス分析も行い、cDNAのクローニングに成功した。cDNAは495の塩基対の牛Ucn3の翻訳領域(ORF)と、167のアミノ酸をコードすることがわかった。予測されたアミノ酸配列は、人とマウスのアミノ酸配列と比較し、64.458%と60.479%の相同性を示していた。これらの神経ペプチドの生理的機能や病理発生における関与などの研究に役立つ結果である。
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