研究課題/領域番号 |
05F05652
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
立花 敏 独立行政法人森林総合研究所, 林業経営・政策研究領域, 主任研究官
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研究分担者 |
張 玉福 独立行政法人森林総合研究所, 林業経営・政策研究領域, 外国人特別研究員
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キーワード | 森林政策 / 森林経営 / 中国:日本:ニュージーランド / 木材産業 / 林産物輸出 |
研究概要 |
1.中国の木材産業や林産物貿易に関する研究と世界の林産物需給に関するモデル研究について、論文、研究レポート、FAO等の国際機関、各国政府機関、NGOの調査報告書等の文献レビューを行った。中国では丸太輸入と合板等の木材製品輸出が増加しており、その動向を踏まえ木材加工産業の発展に関する分析を行い、国際研究雑誌JARQに論文を投稿した。 2.独自の理論モデルを検討するとともに、主要国の森林資源、林産物価格、林産物生産量、林産物輸出入量、GDP等の経済指標、人口等のデータ収集を行った。前者に関しては国際研究雑誌Forest Policy and Economicsや日本の研究雑誌『林業経済研究』に受理された論文の成果をもとに改良し、データ収集に関してはFAOやOECD等の国際機関の統計を活用した。 3.日本の国産材輸出シンポジウムへの参加や県産材輸出を進める青森県での調査により、中国への林産物輸出に関する情報収集を行った。日本の国産材輸出は、年間1万m^3程度の水準に留まっており、それには中国の経済活動に加えて文化の影響もあるため、日本と同様の需要構造を想定しては行えないことが分かった。現在のところ数量は少なく、日本の森林経営への影響は限定的なものである。 4.中国への重要な林産物輸出国であるニュージーランド(NZ)において、政府当局、林産企業、貿易関連企業等を対象に2週間の現地調査を実施した。NZでは、人工林のラジアータ松の成長が早く、国内消費が安定的であるため、木材生産の増加に伴い海外への林産物輸出が増えており、それが森林経営に多大な影響を与えていることが分かった。他方、NZドル高や原油価格高騰の影響により2003年から立木や丸太の価格が低下し始め、丸太生産量は減少し始めている。そうした中で、林産物輸出は丸太から製材品等の製品輸出へと重きが変化し、オーストラリアや日本、韓国向けに加えて中国や米国向けが台頭している。NZの森林経営に対する中国の影響は増大している。
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