研究概要 |
Xをスタイン多様体、ψをX上の多重劣調和関数とするとき、Xの近似列B_rCCB_<r+1>CC・・・CXに対し測度μ_<ψ,r>=1_<X-Br>(dd^Cψ)^h-(dd^Cmax(ψ,r))^nの極限を掃散モンジュアンペール測度という。XがC^n内の滑らかな有界擬凸領域であり、ψがXの多重複素グリーン関数ならば、掃散モンジュアンペール測度の台は強擬凸境界点に集中する(Demailly '87)。この現象は等角マルチンゲールを用いて確率論的解釈をすることが可能であると考えられている。Wiklundはこのような動機から、より一般の状況で掃散モンジュアンペール測度の台について研究し、Cegrellの極限定理とGuanの平滑化補題を用いることにより次を示した。(以下では掃散モンジュアンペール測度は多重複素グリーン関数に対するものとする。) 定理1、X_1,X_2を放物型スタイン多様体、Ω_1CX_1,Ω_2CX_2を超凸領域とすると、X_1xX_2内の領域Ω=Ω_1xΩ_2に対する掃散モンジュアンペール測度の台は∂Ω_1x∂Ω_2にふくまれる。 定理2、PをC^n内の有界な解析的多面体領域とすると、Pの掃散モンジュアンペール測度の台は∂PのLevi平坦部分と共通部分をもたない。 この結果をプレプリントにまとめ、投稿準備中である。ちなみにGuanの平滑化補題とは、2つの多重劣調和関数u,vおよび実関数|x|の凸C^2近似xに対してx(u-v)+u+vが多重劣調和であるというものである。
|