現場のプラントにおける下水汚泥は1次発酵から5次発酵を経て完熟堆肥となり出荷される。これまで1次から5次発酵汚泥のSuspended Solid (SS)を測定したところ、腐熟が進むにつれてSSの値は減少することが確認され、プラントレベルではSSと腐熟化には相関が見られている。そこで実験室レベルにおいても同様な相関が見られるか検討したところ、SSを測定することによって腐熟化の促進度合いを比較できることがわかった(濁度測定法)。下水汚泥堆肥化では窒素を含む高分子有機物質が分解する過程でアンモニアが発生し、たいへんな悪臭をともなうのが特徴である。腐熟が進むにしがたってアンモニアが蒸散するなら、腐熟が進む程発酵物中のアンモニア含量は減少するはずである。そこで生下水汚泥および1-5次発酵物中のアンモニア含量を測定し、腐熟化の判断材料となるか調べたところ、汚泥は腐熟が進む程、含有するアンモニアは減少することがわかり、腐熟化の判断材料にできることがわかった。 汚泥の発酵を促進させるには、外部から化学物質を添加し、従来汚泥仕込み中に生息する微生物を活性化させる方法と、汚泥有機物の分解に貢献している微生物を単離し、人為的に大量培養して仕込み中に添加するという方法、あるいはその両者を組み合わせるという方法がある。これまで高い発酵促進効果があるものとして、グルタミン酸、チロシン、グリシン、酢酸ナトリウム、尿素、カリウムみょうばんの6化合物を候補に挙げた。実際の仕込みを模してその発酵促進効果を調べたところ、濁度測定法によればカリウムみょうばんが汚泥の腐塾を促進させることがわかった。
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