強誘電体メモリ(FeRAM)は、現在コンピュータのメインメモリとして使用されているDRAM並みの高速動作と、電源を切っても情報が保持される不揮発性を併せ持つ"究極のメモリ"として開発された。しかしFeRAMを高密度化し、DRAMを凌駕する"真の究極のメモリ"とするためには、信頼性の向上が不可欠である。特に"インプリント"と言われる電界印加による特性の電界方向へのシフトは長年の研究でも解決できていない最大の問題である。これまでの研究アプローチは、実用化されている多結晶薄膜サンプルの結果を理論に当てはめて説明しようとするものであった。しかしサンプルの作り方等によってインプリント特性は大きく変化してしまい、完全なモデル構築はできてこなかった。 本研究では、単結晶薄膜や1軸配向薄膜等の系統的なモデルサンプルを作成し、インプリント特性を詳細に解析することでモデル構築を行う。 本年度は上記目的を果たすため基礎研究を行った。温度および電界印加に対して最も安定した特性が確保できるのは(111)配向である。そこで本年度は、(111)配向したSrRuO_3をPtとPZTの間に挿入することによって、安定して(111)配向したPZT作製を行った。その結果下記の結果を得た。 1.MOCVD法での作製において、Pb原料の供給速度を変化させて製膜を行った結果、SrRuO_3をPt上に導入することによって、広い条件でPZT単相からなる薄膜が得られることがわかった。 2.得られた薄膜では安定して残留分極値が30μC/cm^2以上が得られることがわかった。
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