研究概要 |
博士論文で、モジュラー曲線の超特異点にともなうテータ級数に関するアイヒラーの基底定理の、ヒルベルト保型形式への拡張を研究した。そこでは、素数pが総実代数体で不分岐という仮定をおいていたので、これをどのように除けるか研究した。 このほか、リベットの完全系列の高次元化を研究した。フェルマ予想を志村・谷山予想に帰着させる研究で、リベットは、超特異点によって生成されるある種の群の完全系列を構成した。これの志村多様体への一般化を研究した。エタール・コホモロジーの一般論より、閉ファイバーのコホモロジーから、隣接輪体のコホモロジーへの標準写像が得られる。これをより具体的な表示をもつ複体と比較すればよいという着想を得た。これを四元数体にともなうコンパクトな志村多様体に対して証明するのが目標である。これは、PEL型ではない志村多様体だが、PEL型の志村多様体と結びつけることで、局所的な構造を調べようと考えている。 「ヒルベルト保型形式に対するアイヒラーの基底定理の幾何的意味づけ」という題での講演を、京都大学数理解析研究所における研究集会「代数的整数論とその周辺」(12月)と東京大学数理科学研究科(1月)、早稲田大学(2月)での整数論セミナーで行った。 また,京都大学数理解析研究所における研究集会「保型形式、L関数と周期」(1月)およびスペイン・バルセロナでの研究集会「アラケロフ幾何と志村多様体」に参加し,研究上の交流を行った。バルセロナでの研究集会参加には,本補助金からの援助をえた.
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