研究概要 |
透過性反応浄化壁(PRB)に関する文献レビューを実施した。PRBによる工法は受動的な工法として科学的自然減衰(MNA)による地下水汚染対策として多くの実績を残している。米国においては1980年代より本工法が適用され,ハンドブックとして体系化されている。PRBの多くは有機塩素化合物を汚染対象とし,ゼロ価鉄粉による脱塩素反応によるが,本研究では不適正な安定型処分場の浸透水に対する恒久対策としての適用を考えた。処分場からの浸透水中汚濁物質としては,BODやCODといった水質汚濁物質とともに,無機化合物である硫化水素が挙げられる。これら有機物と硫化水素を吸着しながら透水性を保つ材料を検索する必要がある。硫化水素の捕捉材としては,よく酸化鉄が使用されることから,酸化鉄の鉄粉を用いた。また,鉄分を多く含む粘土や土壌も同様の役割を有すると想定されるため,酸化鉄含有量が50%を超えるリモナイト(熊本黄土の精製粘土)も吸着捕捉材として検討することとした。有機物分を吸着させるためには自然土が必要であると考え,さらに自然土の中でも比表面積が大きく,非晶質な鉄やアルミナ酸化物を含有し,カルボキシル基などの電荷に富む有益な有機物を含有する材料として火山灰質粘性土を検討対象としてバッチ試験による有機物と硫化水素の捕捉能力の検討を実施した。さらに,COD成分のうち高分子化合物は吸着効果ではなく,細孔間隙を通過することによる濾過機能にも期待できるとしてカラム通水試験を行うため,カラム試験装置の試作を行った。また,米国環境局におけるRisk Based Environmental Characterizationの考え方を処分揚へと展開するためのロジックについて取りまとめを実施し,次年度からの研究へと継続させる。
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