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2005 年度 実績報告書

活版印刷以前のマス・メディアとしての托鉢修道会の説教の諸側面の研究

研究課題

研究課題/領域番号 05J00724
研究機関中央大学

研究代表者

赤江 雄一  中央大学, 文学部, 特別研究員(PD)

キーワード中世史 / 説教 / マス・メディア / メディア / リテラシー / 国際研究者交流 / 国際情報交換 / 多国籍
研究概要

ヨーロッパ中世盛期から後期にかけての心性史研究の重要な糸口としてエグゼンプラ集と呼ばれる史料が近年注目されてきた。エグゼンプラは、俗人の興味を持続させると同時に説教のメッセージをイメージとして結実させるために説教の中で用いられた例話である。日本においても民衆の日常生活を扱ったエグゼンプラ研究は九〇年代以降徐々に蓄積されてきたが、日本ではエグゼンプラが具体的に用いられる場である説教それ自体の研究はほとんど進んでおらず、説教研究が過去20年間において急速な発展している欧米と対照をなす。
エグゼンプラおよび説教の写本は膨大な数で存在するが、これらは13世紀初頭に誕生した托鉢修道会会士によって主に著作され書写された。エグゼンプラ集は、民衆教化の最先端を担う存在であった托鉢修道会士が著した、範例説教集、詞華集(florilegia)等の説教著述を支援するさまざまな著作ジャンルの一つである。托鉢修道会は、説教関連著作の執筆・筆写に加え、図書館・教育システムなど説教著述を体系的に支援する(パリ大学を頂点とする)システムを整備し、「活版印刷以前のマス・メディア」を形成し、メディア・コミュニケーション史上における画期をなした。
メディア・コミュニケーション史という観点から、説教著述を支援する著作ジャンルのなかで最も重要であるとされつつも我が国においては手つかずであった範例説教集(説教者が自分の説教を著述する際に手本として参照する説教を集めたもの)に注目し、マス・メディアとしての範例説教集の性質を執筆から口頭での民衆への伝達までの様々な過程を高い精度で描くことである。主な業績は、説教の執筆者と聴衆の特定、説教者養成過程としての托鉢修道会の教育システム、托鉢修道会の図書館の蔵書編成とその利用、説教形式、説教執筆と口頭伝達におけるラテン語と俗語の関係、「心的暦」に関するものである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] A Library Preachers : The Novum opus dominicale of John Waldeby OESA and the Library of the Austin Friars at York2005

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Akae
    • 雑誌名

      Medieval Sermon Studies 49

      ページ: 5-26

  • [雑誌論文] The Importance of Curiositas in Late Medieval Preaching2005

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Akae
    • 雑誌名

      Minds of the Past : Representations of Mentality in Literacy and Historical Documents of Japan and Europe, (ed. by Takami Matsuda, Kenji Yoshitake, Masato Izumi and Michio Sato)

      ページ: 51-74

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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