本研究課題の遂行課程で、粘性の圧力微分の逆数を超える剪断率を与えたとき、液体の一様状態が不安定化し、遂にはキャビテーションやシアバンドどいった非線形現象に至るという全く新たな機構を提案した。この機構は特に粘性の大きな液体系について広く成立しうるものであると予想しており、この研究で得られた知見を基に、さらなる一般化を行った。特に過冷却状態あるいは、ガラス状態にある極めて高粘性な液体や固体(金属ガラスや地球マントルなど)の塑性変形の機構、あるいはシアバンド形成、破壊、疲労現象などの不均一化を伴う変形について理解するために、自由体積などミクロな描像を有効的に組み入れたメソスケールモデルの立場から、系統的な研究を行ってきた。そのほかに、下記のような研究を展開した。(i)過冷却液体中に成長する動的不均一構造と輸送物性の関係について、主に数値シミュレーションを援用して、新たな知見を得た。(ii)膜の連続体シミュレーション法を開発し、流体力学相互作用など複雑な効果がある場合につい研究を行った。これらの研究についても、現在、論文投稿中である。
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