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2005 年度 実績報告書

なわばり性藻食魚とその食藻との相利共生:魚類による裁培の起源と進化

研究課題

研究課題/領域番号 05J01360
研究機関京都大学

研究代表者

畑 啓生  京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)

キーワードサンゴ礁 / タンガニイカ湖 / スズメダイ / シクリッド / 栽培共生 / 藻園 / 藻食 / なわばり
研究概要

私は、サンゴ礁のスズメダイとイトグサとの間に、ヒトと栽培植物に例えられる栽培共生を発見した。クロソラスズメダイは一種類のイトグサのみが繁茂した藻園を、藻食者の追い払いと他の藻類の除藻により維持している。琉球列島に生息する他の5種のなわばり性スズメダイも含めた藻園内外での徹底した藻類採集と分子マーカーによる探索の結果、クロソラスズメダイの藻園のイトグサは、その藻園外では全く見られないことがわかった。また、胃内容分析や脂肪酸組成、安定同位体分析を用いてクロソラスズメダイは栄養源や必須脂肪酸源としてイトグサに依存していることを示した。こうしてクロソラスズメダイとイトグサとは、互いに生存を依存しあう栽培共生の関係にあることがわかった。他のスズメダイ3種についても、それぞれの藻園に1種づつ、種特異的にイトグサ属藻類計3種が生育していた。そのうち1種のイトグサは、常に1種のスズメダイの藻園で優占しスズメダイに餌として依存される一方、そのスズメダイの藻園外にも生育できるもので、両者の関係は条件的栽培共生といえる。他の2種のイトグサは、逆に藻園で優占することはなくスズメダイに依存されないが、それぞれ1種のスズメダイの藻園のみで生育しており、両者の関係は、まるで雑草のようなイトグサによる片利共生といえる。さらに本年度、私はクロソラスズメダイの分布域であるインド洋や紅海において広く野外調査を行った。今後、スズメダイ類と藻類両方の分子系統解析により、このサンゴ礁の栽培共生系の起源と進化にせまる。さらに、アフリカタンガニイカ湖で4ヶ月に亘り野外調査を行い、タンガニイカ湖でもシクリッドによる藻園を発見した。サンゴ礁とタンガニイカ湖で比較を行うことで、藻食性やなわばり性の進化や、また栽培共生の進化について、より深い知見を得られるものと期待できる。

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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