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2007 年度 実績報告書

なわばり性藻食魚とその食藻との相利共生:魚類による栽培の起源と進化

研究課題

研究課題/領域番号 05J01360
研究機関京都大学

研究代表者

畑 啓生  京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)

キーワード栽培共生 / サンゴ礁 / なわばり性スズメダイ / イトグサ / タンガニイカ湖 / 藻食性シクリッド / シアノバクテリア
研究概要

水圏生態系において、藻食性なわばり魚と藻類との間に見つかった栽培共生系について、その起源と進化を明らかにするため研究を行った。
琉球列島のサンゴ礁域ではスズメダイ類と、そのなわばりに繁茂する糸状紅藻イトグサ類との間に高い種特異性があり、中でもクロソラスズメダイとイトグサsp.1とは、互いに互いの生存を依存しあう絶対栽培共生に達していた。この発見はNHKの番組ダーウィンが来た!生きもの新伝説において「大発見!農業する魚」として取り上げられ一般の関心を引いた。
クロソラスズメダイとイトグサとの関係性のインドー太平洋における地理的変異を明らかにするため、各地のサンゴ礁を訪れ、藻類を採集し分析を行った。その結果、モーリシャスとオーストラリアでも、クロソラスズメダイのなわばりから全く同じイトグサsp.1が見つかり、一方イトグサsp.1はクロソラスズメダイのなわばり外には全く生息していなかった。またエジプトやケニヤ、モルディブでは、クロソラスズメダイはイトグサsp,1と極めて近縁なイトグサ類とそれぞれ栽培共生を結んでいた。こうして、クロソラスズメダイとイトグサとの栽培共生は、インド-西太平洋の広い海域で保たれ、かつ海域によってはイトグサ近縁種への寄主転換があることが分かった。
同時に、アフリカタンガニイカ湖のなわばり性シクリッドについて、その藻類利用を調査した。これらのシクリッドのなわばり内にはシアノバクテリアの一群が繁茂しており、シクリッドの胃内容からもそれらが見つかる。分子生物学的手法を用い、それらのシアノバクテリアの正体が突き止められ、シクリッド類が種ごとにそれぞれのシアノバクテリア種を利用しているのかどうかが明らかにされようとしている。
これらの研究により、水域における藻食魚と藻類との相互作用系について、藻類の知られざる多様性や藻食者との高い種特異性が明らかにされつつある。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Advantage of harmlessness in gaining preferential access to a heterospecific territory2007

    • 著者名/発表者名
      Ochi, H., Hata, H.& Hori, M.
    • 雑誌名

      Journal of Fish Biology 71

      ページ: 399-410

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 生物による栽培-沖縄のサンゴ礁におけるクロソラスズメダイの藻園-2007

    • 著者名/発表者名
      畑 啓生
    • 雑誌名

      エコソフィア 19

      ページ: 64-69

  • [学会発表] Cultivation of specific cyanobacteria by a territorial cichlid, Variabilichrimis moorii,in Lake Tanganyika2008

    • 著者名/発表者名
      Hata, H., Ohkubo, S., Miyashita, H., Watanabe, K., Kato, M.& Hhri, M.
    • 学会等名
      魚類の系統と多様性に関する国際シンポジウム
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2008-03-03
  • [学会発表] 農業する魚-栽培共生のインド-西太平洋における地理的変異り-2007

    • 著者名/発表者名
      畑 啓生
    • 学会等名
      日本進化学会第9回京都大会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2007-08-31

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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