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2007 年度 実績報告書

植食性昆虫のミトコンドリアDNA多型情報にもとづく照葉樹林の分子植物地理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 05J01416
研究機関京都大学

研究代表者

瀬尾 京子 (青木 京子)  京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 特別研究員(PD)

キーワード植物地理 / 照葉樹林 / レフュジア / 植食性昆虫 / 種内の遺伝的変異
研究概要

森林の歴史的変遷を考察するためには,そこに住む複数の動植物についてDNAレベルの遺伝的変異の地理的パターンを比較するといったアプローチが必要である。本研究では,照葉樹林の優占種であるシイ(コジイ・スダジイ)とそれに特異的に付く昆虫2種のDNA多型の地理的分布パターンの共通点を探し出すことで,照葉樹林の分布変遷を考察する。分子進化速度の大きく異なる植物と昆虫の多型情報を重ね合わせることで照葉樹林の動きを幅広い時間軸で考察することを目指している。
平成19年度に行った研究および得られた成果は以下である。
1.植物シイのDNA多型の地理的分布パターンの解析 ESTに由来するマイクロサテライトマーカーを32対開発した。日本のシイ林1地点から約20個体のシイの葉を採集し,マイクロサテライト多型の地理的構造をみた結果,コジイ・スダジイともに遺伝的分化の境界は,琉球地域および中国・四国地域にみられた。
2.シイに付く植食性昆虫2種におけるDNA多型の地理的分布パターンの解析
シイの実に特異的に付くシイシギゾウムシとシイの新芽に潜葉するヒラセノミゾウムシを材料に用い,シイと同地点においてミトコンドリアDNA多型の集団解析を行った。その結果,両種ともに中国・四国地域にハプロタイプの分布境界がみられた。
3.植物シイとそれに付く植食性昆虫2種におけるDNA多型の地理的分布パターンの比較
植物シイとそれに種特異的に寄生する昆虫2種の遺伝的変異の地理的パターンおよび集団内の多様性・独自性は,ほぼ一致することがわかった。したがって,シイとゾウムシは氷期の気候変動の影響を同じように受け,ある程度共通した分布変遷をたどってきた可能性が高いことが示唆された。植物のみならずそれに特異的に付く昆虫の遺伝的変異の地理パターンをも重ね合わせ分布変遷を解明する試みの有効性が示された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008 2007

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] シイとその種子食昆虫は共通の歴史をたどったか:遺伝構造の比較解析2008

    • 著者名/発表者名
      青木 京子・土野 真義・津村 義彦・加藤 真・村上 哲明
    • 学会等名
      日本植物分類学会第7回大会
    • 発表場所
      首都大学東京
    • 年月日
      20080321-23
  • [学会発表] スダジイESTの収集とEST-SSRマーカーの開発2008

    • 著者名/発表者名
      上野 真義・青木 京子・津村 義彦
    • 学会等名
      日本森林学会119回大会
    • 発表場所
      東京農工大学
    • 年月日
      20080027-29
  • [学会発表] 植物分類学関連学会連絡会共催シンポジウム:植物とそれに付く植食:性昆虫のDNA多型にもとつく照葉樹林の分布変遷2007

    • 著者名/発表者名
      青木 京子
    • 学会等名
      日本植物学会第71回大会
    • 発表場所
      東京理科大学野田キャンパス
    • 年月日
      20070906-09

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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