研究課題
本研究の目的は、音楽データに対するメタ情報記述手法とスキーマの開発、及びセマンティクスベースの音楽情報検索システムの構築である。計算機がメタ情報をもとにユーザの聴きたい楽曲を推論・検索することで、ユーザはタイトルや作曲者名による検索方法から解放される。我々は、音楽特有のメタ情報としてリズム・メロディー・ハーモニーに着目して研究を進めており、研究初年度である17年度は、特にリズムに着目し、ポピュラー音楽においてリズムと密接な関係があるドラム音認識の研究を行った。(1)ドラム音認識市販CDレベルの複雑な音楽音響信号からバスドラムとスネアドラムの発音時刻を検出する手法は、その性能(80%近い認識率)と頑健性が認められ、IEEE Transactionに採録が決定した。実際、我々のアルゴリズムは、音楽情報検索に関する著名な国際会議であるISMIR2005中で開催されたドラム音認識コンテストで優勝した。(2)ドラムパターンに着目した認識精度の改善ドラム音検出結果からドラムパターンという周期的な構造を抽出し、その周期性に基づいて検出結果を自己評価しながら検出誤りが疑われる時刻で検証を行うことで、認識精度を改善する手法を提案した。この手法は認識精度の改善という工学的価値だけではなく、リズム階層における複数階層メタ情報間(発音事時刻とその周期パターン)の相互関係に着目した点で学術的価値も高い。この成果はICASSP2006に採択された。(3)ドラム音認識に基づく音楽音響信号中のドラムパート編集上記のドラム音認識手法を利用して、市販CDのように既にミックスダウンされている音楽音響信号中のドラムパートを自由に編集できるオーディオプレイヤーを開発した。インタラクション2006にてデモ発表を行い、インタラクティブ発表賞(参加者の投票で一位に与えられる)を受賞した。
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情報処理学会シンポジウム インタラクション2006
ページ: 207-208
Proceedings of 2nd European Workshop on the Integration of Knowledge, Semantic and Digital Media Technologies(EWIMT2005)
ページ: 205-212
Online Proceedings of 1st Annual Music Information Retrieval Evaluation eXchange(MIREX2005)
IEEE Transactions on Speech and Audio Processing (in press)