研究課題
本研究の目的は、音楽データに対するメタ情報記述に基づく音楽情報検索システムの構築である。採用1年目は、メタ情報として特にリズムに着目し、リズムと密接な関係があるドラム音認識の研究を行っていた。採用2年目である平成18年度はまず、ドラム音認識技術により得られるメタ情報を利用した能動的音楽鑑賞インタフェースDrumixの改良に取り組んだ。また、音楽検索からさらに進んで音楽推薦を課題として研究を進めてきた。音楽推薦では、システムがユーザの嗜好を推定し検索を行うため、ユーザの労力が削減できる。(1)ドラム音認識技術と能動的音楽鑑賞インタフェースDrumix市販CDレベルの複雑な音楽音響信号からドラム音の発音時刻を検出する手法は、性能の高さ(80%近い認識率)が世界的に認められた。この成果はICASSP2006にて発表し、IEEE Transactionに掲載された。この技術を応用して開発したDrumixとは、既にミックスダウンされている音楽音響信号中のドラムパートを自由に編集できるオーディオプレイヤーである。この成果は情報処理学会論文誌に英語論文として照会なし採録された。(2)ハイブリッド型楽曲推薦システム本システムは、ユーザによる楽曲評価と楽曲の音響的特徴とを同時に考慮することで、大規模楽曲データベースの中からユーザの嗜好にあった楽曲を精度良く選択することができる。従来手法には、ユーザの楽曲評価に基づく協調フィルタリングと音響的特徴の類似度に基づくコンテンツベース推薦の2つがあり、問題を抱えていた。前者では、評価が与えられていない楽曲は推薦できず、推薦楽曲のアーティストのバラエティは乏しかった。後者は未だ研究段階であり、推薦精度が不十分であった。本システムはこれらの問題を解決した。この成果は音楽情報処理分野で最難関の会議であるISMIR2006にて発表し、好評を得た。
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IEEE Transactions on Audio, Speech and Language Processing Vol. 15 No. 1
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IPSJ Journal (online version : IPSJ Digital Courier) Vol. 48 No. 3
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