研究課題
採用第3年度ではまず、開発した音楽推薦システムを実用化する上での重大な問題点を克服することに取り組んだ。また、音楽の内容として音色だけでなくリズムを考慮できるようにシステムを拡張した。さらに、ドラム音認識技術を音楽ロボット開発に応用することを試みた。これはホンダ・リサーチ・インスティテュート・ジャパンとの共同研究である。(1)ハイブリッド型楽曲推薦システム我々はこれまで、確率モデルを用いて楽曲評価と音響的特徴とを統合し、ユーザの嗜好にあった楽曲を精度良く選択できるシステムを開発した。しかし、データ変化に対する適応性やデータサイズに対するスケーラビリティが欠如していた。そこで、確率モデルをデータ変化に合わせて逐次的に更新可能にするインクリメンタル学習法を提案し、適応性の問題を解決した。さらに、インクリメンタル学習法をクラスタリング手法と統合することで、巨大なデータに対しても確率モデルを効率的に学習できる手法を提案した。この成果は音楽情報処理分野で最難関の会議であるISMIR2007にて発表し、好評を得た。(2)音楽ロボット開発本研究では、音楽を自らの耳で聴きながらリズムに合わせて自律的に足踏みできる二足歩行ロボット(ASIMO)の開発を行った。近年、テレビや博覧会で目にする音楽ロボットは一見音楽に合わせて動作しているように見えるが、実際はロボット自身が音楽を聞いているわけではなく、人間が事前にすべての動作および動作タイミングをプログラミングしている。我々は、頭部ヘッドフォンにより録音された音響信号中のビート時刻を検出・予測し、フィードバック制御に基づいて足踏みをコントロールするロボットを開発した。ビート検出・予測部は我々のドラム音検出術を応用して実装した。この成果はロボティクス分野で最難関の会議であるIROS2007にて発表した。ロボティクス分野ではこれまでハードウェア面での改良が主な興味であったが、ロボットの知的能力開発の重要性を指摘した我々の研究発表は多くの聴衆を集めた。
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IEEET ransactions on Audio, Spee chand Language Processing Vol.16,No.2
ページ: 435-447
http://winnie.kuis.kyoto-u.ac.jp/members/yoshii/