研究課題
我々は、まずKeldyshの方法と汎関数積分を組み合わせることにより、光学格子中の凝縮体と非凝縮体の非平衡ダイナミクスを記述する有効作用を導出した。光学格子ポテンシャルは空間的に激しく振動するため、そのままでは理論的な取り扱いが非常に難しい。そこで、格子間隔よりも十分長い長波長の物理に注目して、光学格子の効果を"有効的に"取り入れた。この疎視化された有効作用は有限温度における凝縮体の長波長ダイナミクスを調べるための最も基本的な出発点となる。次に、この有効作用から凝縮体と非凝縮体に対する運動方程式を導出し、凝縮体の安定性について調べた。ここで、非凝縮体の緩和時間が非常に短いという実験結果を念頭に、非凝縮体は平衡状態であるという仮定を用いている。非凝縮体の存在のために、線型化された運動方程式からは凝縮体の集団振動に対する振動数だけではなく、減衰率も計算できる。これは非凝縮体が凝縮体と相互作用を通じて結合するために、凝縮体の集団振動が減衰することを示す。さらに、減衰率が符号を変えると凝縮体の集団振動が時間とともに増大することに注目し、その条件を導いた。すると、超流動の安定性に対するLandauの条件が得られた。本研究の我々の議論により、ガリレイ変換とエネルギー保存則を用いた通常のLandauの議論が適用できない格子系に対して、ミクロな視点から超流動の不安定性のメカニズムを明らかにしたと言うことが出来る。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
Laser Physics 17
ページ: 215
Journal of Low Temperature Physics (in Press)
Journal of Physics B : Atomic, Molecule and Optical Physics 39
ページ: S101
Physical Review A 74
ページ: 053611