中国青海省および甘粛省において9月中旬から11月初旬にかけて2か月のフィールドワークを行った。具体的な内容としては、チベット語アムド方言の口語資料の収集及び、文法調査、文献収集である。口語資料の収集は、新しい口語資料の収集及び、昨年すでに収集した口語資料のテキスト化、チベット文字化及びそれらの校正を行った。文法調査は、昨年度集めたデータをもとにまとめた文法特徴の確認や、不明点について調査を行った。さらに、新たに明らかになった特徴的な現象について詳しく調査を行った。日本に在住するチベット語アムド方言話者に対しても随時、調査を行った。文法調査及び、収集しテキスト化した口語資料をもとに、以下のような成果が得られた。 アムド方言の文法概要:アムド方言の文法特徴を全体的にまとめている。言語の使用状況、使用話者数、音韻、品詞、形態、統語にわたる(「チベット語アムド方言」forthcoming.『文法を描く』2.アジア・アフリカ言語文化研究所)。 統語論:昨年度に続き、複文の研究を行った。各従属節における統語的な制約を詳しく調べている。その成果を発表した(日本言語学会 第132回大会2006 6 於 東京大学)。 言語のスタイル:アムド方言における敬語について品詞、形態、統語、使用の領域などの面から明らかにした。さらに、チベット語の他方言との対照を行い、アムド方言における特徴を描くことを試みた(「チベット語アムド方言の敬語」2007『思言』第2号 3-20.)
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